心が疲れた時や、心が折れてしまった時、虚無感に襲われた時。そんな時に観てほしい映画をご紹介します。(更新しました)
目次
◆①「再会の街で」
おススメ度★★★★★
主演はアダム・サンドラーとドン・チードル。
私の中では、おふたりともコメディの印象が強い俳優さんでしたが、こんなにも人の心を惹きつける演技をするんだ!という驚きもありました。
9.11がきっかけとなるテーマですが、重たく苦しい印象ではありません。
二人の演技力と爽やかなエンディングによるものでしょう。
生きていれば誰だって辛いことがあります。
傍から見れば何の悩みも無さそうな裕福な人も、
結婚して子どもがいて理想的な家庭を築いている人も、
キャリアを積み責任のある仕事を持っている人も、
毎日楽しそうに見える学生も、
それぞれが 悩み、苦しみ、辛いことを抱えているものです。
他者との関わりの中で、傷つけられたり、傷つけたり、助けたり、助けられながら、どうにかこうにか再び歩き出そうとする……
ドン・チードルが演じる役は、アダム・サンドラーが演じる役を助けることで己もまた、救われたいのだと薄々気づいていきます。
そして、最後。
自分は救ったのではなく、救われたのだと明確に知るのです。
◆②「リトル・ダンサー」
おススメ度★★★★★★★★(個人的にイチオシなので振り切れてます)
主人公の少年が顔を真っ赤にして怒ったり、タップを踏んだりするシーンに、口下手な少年のなんと豊かな感情表現よ!と感動します。
自分の心の内を上手く言葉で説明できなかった子どもの頃を思い出す方も少なくないでしょう。
この少年は、言葉よりも「ダンスでの表現力」という才能を持っていたのです。
大人たちは子どもが愛するものを「男だからダメ、女だからダメ、お金がかかるからムリ」と、粗末にぶん投げることがあります。
大人たちは子どもの純粋な疑問を「世間ではこうだと決まっているんだ!」と、いとも簡単に一蹴することがあります。
「バレェなんて女の子がやるもんだぜ!」と言いつつも、 ボクシングのグローブからトゥ・シューズに惹かれる少年ですが、道はなかなか前途多難。
貧しい炭鉱の町、ストライキで荒れる男たち、息子は炭鉱夫になると決め込んでいる父親。
こんな状況からよくぞあのラストシーンに、少年は持って行ったものです。
彼の父親が見せる葛藤、それは、息子の「新しい価値観」を徐々に受け入れていく心情なのですが、無骨な愛情表現が本当に良い。
父親の最後の表情にはグッときて、涙が溢れてしまいました。
ポケットに仕舞い込んでいた夢を取り出して、 もう一度磨きたくなる映画です。
◆③「KIRIKOU キリクと魔女」
おススメ度★★★★★
アフリカ独特の色彩がとても美しいアニメで、 一画面一画面がそれだけ切り取っても成立するほど。(監督はフランス人)
色使いと線の描き方が独特でとても綺麗!
「魔女はどうして意地悪なの?」と、本質を問う少年(むしろ赤ちゃん)のキリクが主人公です。
そう、彼は「魔女は意地悪だからやっつける!」という単純な思考の持ち主ではなかったのです。彼は大人よりもずっと開かれた知性で村を救います。
人は時として悪魔になったり、鬼になったり、般若になったりすることがあります。しかし、それには理由があり、誰でも「魔女」になりうるのです。
このストーリーは、大人には本質的な「気づき」をもたらしますし、子どもも理解するでしょう。
効果音や人物の動きがユニークで、コミカルなので小さなお子さん(3、4歳くらいから)楽しめると思います。
それと、挿入歌が耳に残ります^^
レンタルDVDはジブリコーナーに置いてあります。
↓絵が綺麗!
キリクと魔女 [DVD]
◆④「コーラス」
おススメ度★★★★★
寄宿学校で生活する少年たち(戦争孤児など)が、コーラスの楽しさを知ると同時に、「自分にも未来があり、人生を味わう価値がある」ことを理解していくストーリーです。
この映画には熱血先生は登場しません。
ちょっと冴えない感じの、温厚な丸顔のおじさん先生が「子どもを見下したり支配したりせずに関わる」だけです。
もともとそういう先生なのだと思いますが、虐待や体罰を「教育」だということにしている校長先生に対する、静かな怒りの意思表明なのかもしれません。
丸顔のおじさん先生は子ども合唱団を作ります。
歌を通して子どもたちと関わっていくなかで、主人公の少年(問題児)が類稀なる歌声の持ち主であることに気づきます。
映画を観たほとんどの方が共通して持つであろう、とても印象深いシーンがあります。
それは、不貞腐れた態度の少年が、コーラスの最中に歌いながら微笑むシーンです。
理解者への感謝の気持ちが思わず溢れた微笑みの応酬に、込み上げてくるものがありました。
◆⑤「50回目のファーストキス」
おススメ度★★★★★
アダム・サンドラーとドリュー・バリモアのロマンチック&コメディ。
交通事故により記憶障害を抱える女性を中心にストーリー展開ですが、湿っぽく深刻な空気はありません。
常夏のハワイ、雄大でダイナミックな風景、海の動物たち、音楽、心温かい登場人物、主役2人のキャラクター、それらが優しい雰囲気でストーリーを包みます。
「解決が困難に思える問題」に、とことん付き合う家族。
「解決が困難に思える問題」に、とことん真正面から向き合う彼氏。
どちらも愛が動機にある行動なのですが、まったく正反対のことをしているわけです。
これはちょっと考えさせられますね。
乗り越えられそうにない問題が立ち塞がったとき、どう行動すれば「未来」につながるのか?
家族は「維持すること」を選んだのですが、彼氏はそこからさらに踏み込んだんですね。
こういう姿勢を「ポジティブ」と言うのではないでしょうか。
番外編①:「8Mile」
おススメ度★★★★★(自分のなかのガッツを奮い立たせられる)
私は、貧乏一人暮らしの時にエミネム主演の「8Mile」にとても励まされたことがあります。
会社での派閥争いとモラハラ、給料大幅ダウンによる生活苦、母の看病、心から信頼していた人との別離、自動車が壊れる……などなどが一度に押し寄せて、心が折れていた時の事です。
そんなある日、なんとなく借りて観たのが「8Mile」。
どん底の、沼の底でもがく主人公と自分が重なったのだと思います。
この映画の主題歌「Lose Yourself」が世界中で大ヒットし、私もこの歌を聴いてから出社したことを今でもよく覚えています。
「負けてたまるか」という気持ちが湧いてくる歌です。
番外編②:「バーフバリ伝説誕生」「バーフバリ王の凱旋」
おススメ度★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★(最の高)
いきなりテイストがガラッと変わりましたが、バーフバリはスケールが凄すぎて、ちょっとした雑魚悪霊くらいなら祓える気がする……
なんとなく虚無感に襲われている、なんとなく疲労感がまとわりついている、そんな方にはこれ以上ないうってつけの映画です。
バーフバリの感想に「風邪が治った」「肩こりが治った」「運気が上がった」など、ハチャメチャなものを見かけ、どんな映画やねんと思って観に行ったら、確かに、バーフバリ鑑賞後から運気が上がっているんですよ、私……
それもそう。これって神話なんですよ。日本で言えば古事記や日本書紀をロードオブザリングっぽくした感じ……?
スサノオやナガスネヒコをヒーローにするとこんな感じになるかも。
「バーフバリ伝説誕生」「バーフバリ王の凱旋」どちらから観ても大丈夫です。なぜなら、「あぁ、あそこのアレがアレか!」「あっ、えーっ!これってあれ?!」なシーンがあるので、それぞれを見返したくなるため。(でも、できれば「バーフバリ伝説誕生」からをおすすめします)
映像も美しく、登場人物がみな魅力的、(ん?さすがにこれは)とチラッと思うシーンも「バーフバリだもの」と納得するしかない圧倒的パワー。
そして、インド哲学・インド宗教・インド世界観の深さに唸ります。
ただ、惜しいのがDVDや動画配信サービスで観られるものはカットシーンがあるんですよ。
ノーカット版BD、DVDが出たら買いたい。元気がなくなったらいつでもどこでも観たい。
定期的にマサラ上映(絶叫上映)やってくれないかな……
映画鑑賞はたった2時間でできる「心の換気」
落ち込んだり、辛いことがあったら、どうぞレンタルDVDを借りるなり、ふらっと映画館に行ってみてたりしてください。
たった2時間の映画鑑賞タイムですが、その映画が与えてくれる気分転換や感動に身をゆだねると……その2時間前の時分とは違う自分がそこにいることでしょう。