久しぶりにSEX and the CITY(http://www.paramount.jp/satc/)を観ていたら、サマンサが乳癌を患っていて驚きました。私の母も癌で他界したからです。
Sex and the City エッセンシャルコレクションBOX セカンド・エディション [DVD]
このドラマは女性の本心をあけすけに描いていますが、まさか、「癌」という重いテーマをSATCらしくドラマにするとは思ってもみませんでした。
セックス・アンド・ザ・シティ シーズン 6 vol.2 [DVD]
↑サマンサが乳癌を患っている話しはシーズン6。
多くの女性に愛されたSATCも、このシーズン6で終わりを迎えます。
私の母も乳癌で他界しました。ステージⅣ。発見が遅かったのです。
命を脅かす病気が分かった時のショックはいかほどか……肝の据わった性格の母でさえ、病院からどうやって帰ってきたのか、記憶が無いと言っていました。
母自身は「死ぬ恐怖」を、
私は「母を失う恐怖」を、
それぞれが抱えながら、日常は続きます。
当時、私はまだ20代前半。「まさか、まさか、どうして!」という怒りにも似たような、うろたえた気持ちを必死に隠して気丈に振舞うのが精いっぱいでした。
私の母も、髪の毛が抜けることに強い悲しみを持ちました。
「命が助かれば、髪の毛なんていいじゃないか」と思う人もいるかもしれません。
しかし母は片方失った乳房そのものや、おびただしく抜けていく毛髪そのものに固執しているのではなかったのです。
癌という病が、視覚化されて突きつけてくる現実。
日々失われていく時間、
未来へのささやかな夢、
思うように動かせない身体。
そんな、命を失うかもしれない「予感」が恐ろしいのです。
家族でさえも、母の本当の孤独感は理解してあげられませんでした。亡くなった後、日記ではじめて知りました。
どんな病気も事故も、他人事ではありません。
例外なく人はいつか必ず死にます。
わかっているつもりだけれど、やっぱり怖いのです。
SEX and the CITYでは、サマンサの彼氏が一緒に髪の毛を刈り上げました。
そして、「現実」を受け入れ痛みを分かち合おうとジタバタしてくれる友達がいました。
当人にしか解かりえない苦しみはあります。
それでも、「あなたは決して孤独ではない」という強いメッセージを送ること。
それがいかに患者本人と患者の家族を救うか……あらためてそのことに思いを馳せたのでした。