【大神神社|三輪山の神話.02】奈良にやってきた出雲の神様(和魂)とは?荒魂とは?幸魂・奇魂とは?

前回の『麗しの夫が実は蛇で、驚きのあまり事故死したお姫様』からの続きとなります。

2回目である【大神神社|三輪山の神話からシリーズ.02】は、大物主神(おおものぬし)から始めましょう。

大国主(おおくにぬし)の名前の方が知られているかもしれませんね。

あの出雲大社(島根県)の神様で、「国造り」や「因幡の白兎」の神話でも有名な神様です。

島根県にある出雲大社。この後ろにかっこいいお社があるのです。
この写真は「写真AC」より

私が大好きな神田明神(東京都)の御祭神も大国主です。(&少彦名命スクナヒコナノミコト&平将門さまもいらっしゃいます!)

大物主神とは?

大物主神とは何なのか?誰なのか?

ウィキペディアの大物主のページの冒頭にいきなり答えが書いてあります。

—以下抜粋—

大物主(おおものぬし、大物主大神)は、日本神話に登場する神。大神神社の祭神、倭大物主櫛甕魂命(ヤマトオオモノヌシクシミカタマノミコト)。『出雲国造神賀詞』では倭大物主櫛瓺玉命という。大穴持(大国主神)の和魂(にきみたま)であるとする。別名 三輪明神。

—抜粋ここまで—

※太字赤アンダーラインは私

つまり、

注目大国主と大物主は同一人物(神)なんだけども、特に、大国主の和魂(にきみたま)が大物主なんやでと言っています。

和魂については後述します。

大国主(オオクニヌシ)は島根(出雲)のスーパーヒーロー、偉大なリーダー

大国主は島根(出雲)あたりの地でめっちゃ活躍していた神様です。

オオクニヌシ像。この写真は「写真AC」より

少彦名(スクナビコナ)という神様を最高の相棒として迎えてからは、よりいっそうの大活躍。大躍進。

どんだけ大活躍かと言うと、

ウィキペディア大国主ページより抜粋—

国造りの神、農業神、商業神、医療神などとして信仰される。『古事記』上つ巻、及び『日本書紀』神代紀(下)に拠れば、スクナビコナらと共に「大国主が行った国作りとは、人々に農業や医術を教え、生活や社会を作ること」であったとされる。荒ぶる八十神を平定して日本の国土経営の礎を築いた。

—抜粋ここまで—

ベストパートナー「少彦名」との別れがもたらしたもの

しかし、少彦名との別れは突然訪れます。

「俺の役割は終わった。じゃ」と大国主のもとを去る少彦名。なんて淡泊な神様なのでしょう。

超カリスマリーダーの大国主ですが、深い挫折を味わいます。

海を眺めながら「俺はこの先、一人でどうやっていけばいいんだ……」と落ち込む大国主。なんて感受性の強い神様なのでしょう。

すると……

ウィキペディア大物主ページより抜粋—

『古事記』によれば、大国主神とともに国造りを行っていた少彦名神が常世の国へ去り、大国主神がこれからどうやってこの国を造って行けば良いのかと思い悩んでいた時に、海の向こうから光り輝く神様が現れて、大和国の三輪山に自分を祭るよう希望した。『日本書紀』の一書では大国主神の別名としており、大神神社の由緒では、大国主神が自らの和魂を大物主神として祀ったとある。

—抜粋ここまで—

ウィペディア一霊四魂ページより抜粋—

また、神代には、大国主命のもとに「吾(あ)は是汝(これいまし)が幸魂奇魂なり」という神が現れ、三輪山に祀られたとある[1]

—抜粋ここまで—

※太字赤アンダーラインは私

古事記古事記によれば、落ち込んでいる大国主のところに海から光り輝く神がやってきて、「そんなに落ち込むなって。私を祀ってくれるなら手伝うからさ」と言ったシーンです。

日本書紀日本書紀では、落ち込んでいる大国主に、大国主自身の幸魂奇魂(=和魂)が現れて、「私を奈良県の三輪山に祀ってくれ」と言ったシーンになります。

日本書紀では同一人物(神)扱いしていますが、古事記ではそういう雰囲気ではありません。

一体どういうことなのでしょう?

島根県で活躍していた超カリスマリーダー(率いる集団)が、奈良県の方でも力を揮ったということを示しているのでしょうか?

あるいは、奈良の方で活躍していたクニと協力して(平和的な協力なのか、戦争があったのかは分からないけど)その後も頑張りましたとさ……的なことなんでしょうか。

箸墓古墳は卑弥呼のお墓なんじゃないか説も有名ですし、非常に重要な場所であることは間違いありません。

幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)、和魂(にきみたま)、荒魂(あらみたま)

ということで、ここで幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)について書きましょう。

どうやら、幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)には色々な説明や解釈があって、どれが正解!というものでもなさそうです。

私の感覚としては、

●幸魂=さき→咲く、割くという音から拡がりを表しているらしい。
情熱、好奇心、ワクワク、行動を連想します。
●奇魂=くし→櫛なので「まとめ」ることを表しているらしい。
冷静、分析、理性、思考、整えることを連想します。

そして、このふたつを和魂(にきみたま)と言うのですが、ウィキペディア荒魂・和魂ページを見てみると、和魂=幸魂=奇魂という並列の関係でもあるようですね。

このページに、なにこれ、神道の神髄なんじゃないのということがサラッと書いてあるので抜粋します。

ウィキペディア荒魂・和魂ページより抜粋—

荒魂は神の荒々しい側面、荒ぶる魂である。勇猛果断、義侠強忍等に関する妙用とされる。これに対し和魂は神の優しく平和的な側面であり、仁愛、謙遜等の妙用とされている。[1]荒魂と和魂は、同一の神であっても別の神に見えるほどの強い個性の表れであり、実際別の神名が与えられたり、皇大神宮の正宮と荒祭宮といったように、別に祀られていたりすることもある。人々は荒魂と和魂を支えるために、神に供物を捧げ、儀式や祭を行ってきた。この神の御魂の二面性が、神道の信仰の源となっている。また、荒魂はその荒々しさから新しい事象や物体を生み出すエネルギーを内包している魂とされ、同音異義語である新魂(あらたま、あらみたま)とも通じるとされている。

和魂はさらに幸魂(さきたま、さきみたま、さちみたま)と奇魂(くしたま、くしみたま)に分けられる(しかしこの四つは並列の存在であるといわれる)。幸魂は運によって人に幸を与える働き、収穫をもたらす働きである。奇魂は奇跡によって直接人に幸を与える働きであり、知識才略、学問、技術を表す。[1]幸魂は「豊」、奇魂は「櫛」と表され、神名や神社名に用いられる。

—抜粋ここまで—

荒魂荒魂は大雨や噴火、地震といった人間からすれば災害のような凄まじいパワーを指しているのかもしれません。身近な雰囲気に例えると男性ホルモン(テストステロン)っぽいイメージ。

和魂和魂は穏やかな天候、日光と雨のバランスが良い状態を連想します。女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のイメージです。

荒魂の災害級の力は怖ろしく、非力な人間としては遭遇したくないものです。しかし、地球の成り立ちといった大きな視点で考えてみると、なるほど、確かに「始まりの力」とはそういうものなのだろうと思います。

凄まじい力によって地球は生まれ、その後にゆっくりと穏やかに生命を育んできました。

ちなみに、大神神社で御祈祷を授かりますと、鎮魂詞(いのりのことば)という言葉を三度唱えます。

さきーみたーまー、くしーみたーまー、まもーりーたまーえー、さきーはえーたまーえー

(「幸魂奇魂守給幸給」)

この「さきーみたーまー」の鎮魂詞は、大物主 (大国主、大己貴命ともいう)をお祀りしている神社で唱えられるとのことです。

ちなみに、CD持ってます。大神神社で1500円で購入(拝受)できます。

怖いことがあったら般若心経を唱えると良い、という人がいますが私はこちらの方が良いような感じがします。

ここまで神話から「大物主神(大国主)ってどんな神様か?」「和魂とは何か?」を見てきました。

大国主といえば出雲のスーパーヒーロー!であることは既に書いた通りなのですが、どうやら奈良(三輪の地)とも関わりがあるんじゃないか……と妄想をかき立てるいくつかのアレがアレしてアレなアレがあるんです!

次回に続きます。次回で最終回です。